キリスト教系の宗教音楽では、ラテン語のテキストが使われることが多いのですが、言葉は時代や土地によって変化するものであるため、さまざまな発音が存在してきました。その結果、宗教音楽を歌う時にどのように発音するかが問題になるため、20世紀初頭にカトリック教会では標準的なラテン語の発音を定めたようです。元になったのはイタリア訛のラテン語らしいので、基本的にイタリア語の発音と良く似ています。
なお、述べた通り、発音は時代や土地によって変化するものですので、必ずしも従う必要はありません。
基本事項
- 音節の長短が消失し、各音節の長さは原則として等しい。
- 母音には、広い、狭いの別がない。
- 幾種類かあったアクセントのうち、旋律的抑揚を示していたアクセントだけが残った。このアクセントの性質は、高揚性を有し、ごくわずかな強さを持っている。アクセントの位置は、語尾から数えて2音節目、または3音節目に見られる。
母音
単母音
- a,i,u,e,oは日本語のア、イ、ウ、エ、オと同じように発音すればよい。
yもiと同じようにイと発音する。
二重母音
- au,eu,eiはふたつの母音で一音節。
前の母音を音符の音価いっぱいに伸ばした後、後の母音を発音する。
- qua,que,qui,quoのuはwの子音に変わる。
- ia,ie,io,iuのiはj(ヤ行)の子音に変わる。
- ae,oeはエと発音する。
子音
- どのような場合でも、bは[b]、dは[d]、fは[f]、kは[k]、lは[l]、mは[m]、nは[n]、pは[p]、qは[k]、vは[v]、zは[z]と発音する。
- cはe,iの前では[t∫]、a,o,uの前では[k]と発音する。
- gはe,iの前では[d3]、a,o,uの前では[g]と発音する。
- scはe,iの前では[∫]、a,o,uの前では[sk]と発音する。
- xcはe,iの前では[k∫]、a,o,uの前では[ksk]と発音する。
- hは発音しない。ただし、mihi(私を、私に)とnihil(全く無い)におけるhは[k]と発音する。
- rは語頭にある場合とrで始まるシラブルにアクセントがある場合は、巻き舌の[r]。
- sは母音に挟まれた時は[z](弱い有声音で[dz]ではない)、その他の時は[s]と発音する。
- exは母音の前では[egz]。exと母音の間にhが挟まっても、hはサイレントなので、[egz]。
その他の場合は[k]と発音する。
- tiはa,oの前では[tsi]、その他の場合は[ti]と発音する。
ただし、a,oの前でも、tiの前にs,x,tがある時は[ti](例 hostia オスティア)
- phは[f]と発音する。
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